vol.55 低電流密度設定の効果-12011.08.17
めっき膜厚析出電気量の比較計算
皆様は、めっきをするためにどのくらいの電気を使用しているか、
また、どのくらいの効率でめっきをしているか調べたことがありますか?
それでは、実際 電気量をどのくらい使っているか計算してみましょう。
1. 従来の設備
2. 低電流密度設定の設備
3. 補助陽極付バレルの設備
上記の3種類の場合で計算し、使用電気量を比較します。
1) 従来の生産量500t/月の設備(㈱三隆製作装置)での電気使用量
<装置仕様>
サイクルタイム | 3分(180秒) |
投入量 | 平均50kg/バレル |
投入総表面積 | 750dm2/バレル |
稼働時間 | 24h/日、25日/月 |
稼働率 | 90% |
電流密度 | 1.0A/dm2 |
めっき時間 | 50分(めっき18連) |
整流器 | 18台 |
電流 | 750A = 750dm2×1.0A/dm2 |
電圧 | 15V |
1) の装置の使用電気量は
15V×750A÷1000÷0.82※1×18台×24H×25日=148,170KWH/月
148,170KWH/月×12ヶ月= 177.8万KWH/年
※1・・整流器変換効率82%
2) 最近の低電流密度0.5A/dm2設定設備での電気使用量
※生産量、稼働時間、稼働率は従来と同等。
<装置仕様>
サイクルタイム | 4分(240秒 |
投入量 | 平均80kg/バレル |
投入総表面積 | 1,200dm2/バレル |
電流密度 | 0.5A/dm2 |
めっき時間 | 72分(有効70分) |
電流 | 600A = 1,200dm2×0.5A/dm2 |
電圧 | 10V |
2) の装置の使用電気量は
10V×600A÷1000÷0.82×18台×24H×25日=79,024KWH/月
79,024KWH/月×12ヶ月=94.8万KWH/年
3) 補助陽極付開放型バレルラインでの電気使用量
※生産量、稼働時間、稼働率は従来と同等。
<装置仕様>
サイクルタイム | 4分(240秒 |
投入量 | 平均80kg/バレル |
投入総表面積 | 1,200dm2/バレル |
電流密度 | 0.5A/dm2 |
めっき時間 | 72分(有効70分) |
電流 | 600A = 1,200dm2×0.5A/dm2 |
電圧 | 6V |
3) の装置の使用電気量は
6V×600A÷1000÷0.82×18台×24H×25日=47,414KWH/月
47,414KWH/月×12ヶ月=56.9万KWH/年
上記 1)、2)、3) の計算からわかることは、基本的設計(電流密度、めっき時間)や、
設備システム(開放型・補助陽極付)によって、同じ生産量でも
めっき膜厚析出に使用する電気量を従来の1/2~1/3に削減することが可能と
いうことです。
それでは削減した年間の電気量の価値がどのくらいになるのか、
従来装置と比較して、計算します。
1) - 2) = 83万KWH(年間)
83万KWH : CO2に換算 278 t-CO2削減 (3.355t-CO2/万KWH)
: コストに換算 年 1,245万円 削減 (15円/KWH)
1) - 3) = 120.9万KWH(年間)
120.9万KWH : CO2に換算 405 t-CO2 削減 (3.355t-CO2/万KWH)
: コストに換算 年 1,813万円 削減 (15円/KWH)
いかがでしたか?
次回は、低電流設定の効果-2 電解熱の計算比較をしてみましょう。
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