vol.56 低電流密度設定の効果-22011.09.14
電解熱の比較計算
めっき膜厚が析出する過程において、めっき液の温度上昇がみられます。
これは、ワークに通電する際にワークが発熱体となり、液温が上昇するためです。
この発熱量は、『 整流器の電圧×電流×0.86×整流器台数 』 で計算できます。
しかし、めっき液の管理設定温度によっても発熱量の数字を考える必要があります。
1) 従来装置 電圧 15V、電流 750A
発熱量は、15V×750A×0.86×18台=17,4150Kcal/H
上記より必要冷却能力は、174,150Kcal/H÷860Kcal/KW=202.5KW
↓
安全を考えれば、この冷却能力に相当するチラーユニットを選択すればよい。
空冷式ならば40HP相当2台分となる。
しかし、めっき液温度が30℃で管理されていれば、熱変換率は70%と
考えればよいので、 17,4150Kcal/H×0.7=12,1905Kcal/H 。
↓
必要なチラーユニットの消費電力は 26.5KW×0.7×2台=37.1KW
37.1KW×24H×25日=22,260KWH/月 が使用電気量となります。
※ 春夏秋冬気温変動を平均して
2) 低電流密度装置 電圧 10V、電流 600A
発熱量は10V×600A×0.86×18台=92,880Kcal/H
冷却能力40HPチラーユニット 1台分
26.5KW×0.7×24H×25日=11,130KWH/月
3) 補助陽極付開放型バレル装置
電圧 6V、電流 600A
発熱量は6V×600A×0.86×18台=55,728Kcal/H
冷却能力30HPチラーユニット 1台分
23.4KW×0.7×24H×25日=9,828KWH/月
年間のチラーユニット使用電気量は
1) 従来装置 22,260KWH/月×12ヶ月= 26.7万KWH/年
2) 低電流密度装置 11,130KWH/月×12ヶ月= 13.3万KWH/年
3) 補助陽極付開放型バレル装置 9,828KWH/月×12ヶ月= 11.8万KWH/年
上記比較計算でわかるように、基本的設計(電流密度、めっき時間)や、
設備システム(開放型・補助陽極付)により、電解熱による必要な
チラーユニットの容量、使用電気量にも大きな差 が生じます。
いかがでしたか?
次回は、低電流設定の効果-3 薬品汲みだし量の計算比較をしてみましょう。
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