vol.9 豆知識 : 電気代の削減方法 -整流器の電気代-2009.12.01
整流器にかかる電気量を求める計算式
整流器の電気量(KWH) は
よって、整流器にかかる電気量を削減するには・・・
● 電圧を下げる
● 電流を下げる
● 整流器の効率を上げる
● めっき時間を短くする の方法が考えられます。
それでは、それぞれの要素の特徴を説明します。
電圧 : バレルめっきは静止めっきと比較すると、バレルそのものが壁となるため、
電気抵抗となります。
したがって電圧を下げるためには、バレル穴の工夫と陽極面積を大きくする
ことが必要となってきます。
vol.7 バレルドラ・ワーク表面積について。でも記しましたが、ワークの
見かけ上表面積を大きくすることも必要です。
電流 : ファラデーの法則にしたがって(電極で生成する物質の量は、溶液を通る
電気量に比例する)、めっき膜厚を析出するために必要な要素です。
整流器の効率 : サイリスタータイプ 効率 72.80%
インバータタイプ 効率 81.86%
整流器は負荷率が低下すると、効率が低下し余分な電力を使用します。
そのため、余裕をもった整流器選択は、さらに効率を下げる原因と
なりますので、整流器の電圧を決める際は必要となる電圧に近いもの
を選択します。
次に、実際の数値をイメージして削減効果を考えます!
< 例 >
① 電流密度 1.0A/dm2 で めっき時間 35分
② 電流密度 0.5A/dm2 で めっき時間 70分
②は①と比べ、電圧・電量は2分の1、めっき時間は2倍 (※他の条件は同じ)です。
※ファラデーの法則より、①と②は計算上めっき析出量は同じです。
①の電気量=電気代は 1 (電圧) × 1 (電流) × 1 (時間) = 1
②の電気量=電気代は 1/2 (電圧) × 1/2 (電流) × 2 (時間) = 1/2
上記のように①と②を比較すると、電流密度1.0A/dm2より、
半分の0.5A/dm2に下げ、2倍の時間をかけてめっきを行う
ほうが、2分の1の電気代ですむ計算になることがわかります。
(めっき効率が上がれば、時間は2倍まで必要ありません)
また、ジンケート浴においては低電流密度(0.5A/dm2)の方
が、めっき効率が上がりますので、より効果的だといえます。
もう一つ、低電流密度でめっきを行うことによりメリットがあります!
ジンケート浴では、めっき槽に排気装置がない場合、ミストが原因でひどい咳き込み
を経験されていると思います。
このミストは、めっき効率が悪い分 ガスの発生として現れています。
従いまして、低電流密度(0.5A/dm2)でめっきをし、酸性浴並みのめっき皮膜を
析出した場合はほとんどミストが発生しないのです。
〒434-0046
静岡県浜松市浜名区染地台六丁目5番12号
TEL:053-584-5539(代)
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